「円満」と「破綻」の差はどこにある?

何を隠そう、これを書いている私自身、離婚経験者です。

今では再婚して最高に円満な夫婦になりましたが、失敗という苦い経験から学んだことがあります。

円満夫婦も、ギスギス夫婦も、どちらか一方でできることではありませんので、夫婦関係で不安を抱えている方にはぜひ、お二人でおいでいただきたいものだと思っておりますが、今回は「円満」と「破綻」の差はどこにあるかということを書いてみたいと思います。

人生を50年以上もやってくると、旧友たちの中にも、円満な人、ギスギスの人、私のように離婚まで経験した人などさまざまです。

友人たちとの付きあいも学校を卒業以来ずっと続いていますので、円満な友人たちを見れば、その円満である秘訣が見えてきます。

簡単に結論をいえば…「どっちが正しい、どっちが間違い」といったことを考えないこと。

それを考えない、または考えてもこだわらない夫婦は、例外なく円満のようで、それを考えることに一生懸命な夫婦はギスギスしてきます。

さらに「離婚」という結末を迎えるのは、夫婦の双方ともが「自分が正しく、相手が間違っている」という、途方もなく強固な結論に生きていることが原因です。

「どうして離婚したの?」

そんなことをストレートに聞くこともあまりないかもしれませんが、離婚した人の中には、聞かれてもいないその質問に自分から答えてくれる人もいます。

「女房が酒乱だった」

「旦那の浮気」

このあたりの「原因」なら、「ああ、それじゃあ仕方ないよね」と納得できますが、中には…

「人格を否定する言葉を言われた」

という人や、

「性格が合わなかった」

という人もいます。

それはそれでそれぞれに深刻な理由なんでしょうから、第三者がとやかく言えた義理はありません。

それでも、同じようなつらい思いをしながらも離婚には至らなかったという人たちもいるんです。

その差はどこにあるかといえば、アンガーマネジメント静岡教室で「天秤思考」と呼んでいる思考ができたかどうかにかかっているのではないかと思います。

天秤思考とは、次の①と②の、どちらが重いかということを冷静に考える思考です。

①相手の存在
②相手に投げつけられて傷ついた言葉や態度

冷静に考えたらほとんどの場合、①の方が大事で重いはずです。ところが「相手が間違っている、自分は絶対に正しい」という思考から抜けきれないと、②の方が重いというようなことになってしまいます。

その結果が「離婚」なんですね。

円満な夫婦にだって、互いに傷つけあったりする言葉や態度はあるはずです。それでも離婚に至らないというのは、誰に教わったともなく、この天秤思考ができているからではないでしょうか。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。