若い人にも読んでほしい認知症予防

 年を取るとやりがちなことに、「なるべく考えない」とか「考えずに判断」とか「とにかく判断を急ぐ」とか、「面倒だからわからなくてもスルー」ということがあります。

 すごく大事な【論理的に思考すること】がめんどくさくなっていて、「判断」や「スルー」をしてしまえばもう「考えなくていい」となって面倒な「論理的な思考」から逃げられるので、それで脳(特に前頭前野=理性)を使わなくなり、脳細胞がどんどん減ってしまうようです。

 それで狭量になったり、冷たく無視するようになったりということもあるようです。その方が楽ができるからです。その真逆をいけば脳細胞は増えます。

 実はよく知らないことなのに、「ああ、自分が知っているあれと同じようなものだろう」と決めてしまい「わかったつもりになる」のも良くないのです。自分の持っている「カテゴリー」の枠の中に、多少無理でもバコン!と押し込めて「はい、解決!」とやってしまうことです。

 微妙な違いというものを無視してしまっては本当に理解することはできないんですが、「もう長く生きてきたからわからないことなんて滅多にないさ」と決めてしまっているわけです。

 それは「わかっている」のではなく、「わかっていることにする」ということで、「思考は面倒だからしない」ということです。そういう思考習慣が固まってくると、脳細胞は使われなくなってどんどん減っていくわけです。

 死ぬまで頭脳が若かったうちの父がそうでしたが、【微妙な違いに意識を向けて、何でもスルーせずじっくり調べてじっくり考える】という習慣がある人は大丈夫みたいです。

 自分が持っている「カテゴリー分類」や「価値判断の基準」を絶対化せず、若いころのように、それを壊し壊されながら生きていきたいものです。

 「自分はまだ若いから大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、思考の習慣というのは若いうちに身についてしまうものです。考えるのが面倒という人が、年を取ってからそれを改善しようと思ってもなかなかできません。改善するなら若いうちがいいと思います。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)
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