いつでも助け合える

講座でもお話することがあるんですが、価値観の違いによる対立は、実は全然大した問題じゃないという話。

通行人の話です。

3人の男がたまたまそこを通りかかりました。

Aさん:読売ジャイアンツの熱心なファン。嫌いな球団は広島。
Bさん:広島カープの熱狂的なファン。巨人ファンを軽蔑している。
Cさん:Jリーグや欧州リーグの試合をよく観るサッカーファン。

3人は、互いにそれまで会ったこともなければ口を聞いたこともないまったくの赤の他人です。ただたまたまそこを通りかかったというだけ。

3人が通りかかってたまたま出くわしたその場で、別の通行人だったおじいさんが倒れたんです。なにか、急に発病したかのような様子。

Aさん、Bさん、Cさんの3人は、とっさにおじいさんを助けるべく行動しました。AさんとBさんは2人でおじいさんを安全な場所に移動させ、Cさんは携帯電話で救急車を呼びました。

3人は、このように効率よく動いて、おじいさんを助けたんです。互いに見ず知らずで、趣味がまったく違うのに。

もしこの3人がバーのカウンターでたまたま隣り合わせてスポーツ談義を始めたら、こうはならなかったでしょう。AさんとBさんは、サッカーなんて頭を使わないアホのスポーツだと思っていましたし、Cさんは、試合中に居眠りができるような野球なんてスポーツとして認められないと思っていました。Aさんは広島カープファンが大嫌いだったので広島カープも嫌いでしたし、Bさんは巨人ファンは野球を知らないエセ野球ファンだと思っていましたから、3人がスポーツの話をすれば喧嘩になったかもしれません。

それでも、いざという時にはチームになって助け合えるんです。それが人間です。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)
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