私たち人類の本質は社会性にあります。一人ひとりの違いは個性であり、個性はもちろんそれぞれであって良いものですが、個性がそれぞれだからといって、社会性というみんなに共通の本質までもがそれぞれだとはいえません。
個性によって異なることというのは、一人ひとりのアイデンティティーのためですから、顔や体格や性格というのは人それぞれで、それが異なることによって、その人が誰であるかということがわかる仕組みになっているようです。
そんな個性の中でも、感性・思考能力・言語能力といったものは、とかく人と人とを比較して優劣をつけるために取り上げられることがあり、それを知能指数(IQ)で表したりしますが、それだけで人格までをも測ることはできません。
知能指数のそうした欠点を補うために、「心の知能指数」と呼ばれるEQが注目されたことがありました。
EQではやはり社会性が重要視されていて、他者との関係をより良いものに高めたり保ったりする能力というものが、私たち人類にはどうしても必要だと考えられています。
ですから、人類が特有のものとして持っている思考能力というものも、社会性や人間関係のために役立てることができているばかりなら良いのですが、現実にはそれとは反対の用途に使われてしまうこともあります。
そのような好ましくない用途のことを、アンガーマネジメントステップアップ講座思考編では「怒り思考」と呼んで、なんとしてもその思考による束縛から自由になろうということで、社会性を最優先とする思考方法を提案しています。
人類だけが持っている思考能力や言語能力というのは、天使にもなれば悪魔にもなるということです。思考能力は両刃の剣なんですね。