身近な相手に対する「希望」や「期待」や「要求」は、それが相手によってかなえてもらえなかったとき、相手に拒絶されたとき、相手が無視したときなどに、怒りなどの嫌な気分が生じます。
自分の要求(望み)が壊された! 邪魔された! という「結果」を受けて、脳の中の扁桃体という部位が「怒りの反射」を示すんです。
つまり怒りの感情が発生するそもそもの原因は、私たちの【要求】にあるということです。
【要求】は、ほとんどが無意識のうちにあって、例えば「話を聞いてほしい」という【要求】があった場合、自分は、「聞けよ!」とか「聞いてよ!」と、心の中で【命令】をしています。
この【命令】が聞き入れてもらえないために、カッとなり、相手が悪いという判断をしたりするんですが、そもそも自分は、「相手に命令する資格があるんだろうか?」という自問をしていません。
そう自問した上で命令する、というのが、対人関係にとっては必要なことであるはず‥‥なんですが、どうしてその手順を飛ばしてしまうのかといえば、自分の【要求】【命令】は、「正しいこと」「要求して当然のこと」「自分の善意によるもの」といった、無意識のうちの判断が根底にあるからです。
以上は、実は例外もあって語弊を恐れず書いてみたこと‥‥ということになるんですが、かなり多くの場合にあてはまるんじゃないでしょうか。
講座や講演でお話してきている「自分の善意に注意してください」というのも、【善意にもとづく要求】【善意にもとづく命令】であるほど、怒りや失望の感情が大きくなるからです。