ストーカー殺人はなくならないのか

自分を嫌う相手に「相手が悪い」と結論して「痛い目に合わせてやる」と行動する‥‥なんていう犯罪が現実にあってなくならない。なんとかしたいものです。

同じような事件はこれまでにも何度もあったと思います。共通しているのは、「自分を避ける相手が悪い」という【結論】あるいは【ジャッジ】を下していること、その結論に従って、悪い相手を教育したいとか、懲らしめたいとか、復讐したいとか、殺したいという衝動に支配されること。

人と人との関係において、そこに犯罪がまだない時点で、つまり何の犯罪も犯していない相手に対して、個人的な恨みの感情をもって個人的な判決を下してしまうということです。

「相手が悪いから」という結論が自分の衝動や行動を正当化します。しかし本当に悪いかどうか、それを決める資格というのは、私たちの社会においては法律と司法に任されるべきことです。本当に相手が悪いなら警察に捕まえてもらったらいいということです。

SNSで自分をブロックした。犯人にとってはさぞやつらい仕打ちだったんでしょうけれども、だからといって、相手に刑罰を下す権利も資格もありません。そのようにして、一線というものが設定されているから、私たちは一定の安全のもとで生活できています。

もう一つ、理性や自制心を司る前頭前野の成熟の問題もあります。個人差はあるわけですが、二十代半ばというのが普通のようですから、まだ二十歳であるとか、十代であるというのは子供です。感情に支配されやすく、感情や気分を最優位において考え、行動します。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)
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