違法かどうかを基準に考える

ワクチン接種への同調圧力があるそうです。一方で「反ワクチン」の間違った情報もSNSなどを通じて流布されているようです。

ファイザー、モデルナなどのmRNAワクチンについては、「これが結論だ」といえるほどの確かな情報は、残念ながらまだ出ていないというのが実情のようです。

結論を急ぎたいと思うのは、私たちの本能です。

山を歩いていて、茂みから「ガサっ」と音が聞こえたとき、「熊だ!」と判断して(結論を出して)さっと逃げることは、自分の身を守るために必要なことです。

同じように、夜道を歩いていて墓地の前を通りかかったとき、何か白っぽいものがすーっと見えて「幽霊だ!」と判断する(結論を出す)ということもあります。

熊にしても、幽霊にしても、本当にそれを目撃したわけではないという時点で、「それだ!」と判断することは、私たちの防衛反応として普通に行われていることなんです。

mRNAワクチンについても、正反対の情報がある中で、テレビなどでは「ワクチンを射つのは身を守るために当然のことだ」という論調が主流になっています。反対意見を認めないという、世界的な大きな流れがあります。

とはいっても、ワクチン接種は「任意」です。射ちたくない人もいて、接種をためらうことを「悪」と断じることも許されていません。

新型コロナウイルスの感染拡大(日本ではほとんど「拡大」していないという見方もありますが)によって、「自粛警察」や「マスク警察」なんていう言葉も出てきていますが、これは【自分と自分たちを守るための防衛反応】ということで、出てきても仕方ないことではありますが、一方で、個人の言動を「悪」と決めるには、法的な根拠が必要になってきますから、違法でもなんでもないことをしている人に対して「悪だ!」と決めるような言動を取ると、逆に自分が違法になってしまう危険もありますから注意が必要です。

ワクチン接種の拒否は違法ではなく、厚生労働省も認めている「任意接種」にかなった行動です。菅総理も「希望する国民へのワクチン」と、ちゃんと「希望する」とことわって発言するよう、いつも注意しているようです。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)
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