職場の膠着状態を劇的に改善するA思考

職場の人間関係がうまくいかない原因はいろいろあります。

ひとつひとつの事例についてどう考えたらいいかということを、それぞれ個別に考えていくことも大事かもしれませんが、当事者となっている人たちそれぞれの「言い分」を聞いたからといって、それで解決できるというほど簡単なものではないはずです。

たとえば、高い能力がある技術の斉藤さんと、同じく有能な営業の山田さんがいて、技術の斉藤さんは社長はじめ社内で絶大な信頼があって、営業の山田さんは会社の主要な取引先で信頼されているという場合。

営業の山田さんは取引先の要請をよく理解していて、それを会社に持ち帰って技術にあれこれと要望を伝える立場。技術の斉藤さんは会社での長年の経験から、できるものはできるし、できないものはできないとはっきり言う立場。

そんな二人ですから、日ごろはどうしても対立することがありますが、二人が対立して妥協点を模索することによって会社の業務が成り立ち、取引先との良好な信頼関係も成り立ちます。

つまり、技術の斉藤さんと営業の山田さんが、互いを尊重しあって最善を尽くすということさえできていれば、会社に大きな問題も起きないわけです。

とはいえ、斉藤さんも山田さんも、自分の仕事にプライドをもつプロフェッショナルです。時にはどうしても譲れないということも出てきます。

しかし、もし本当に譲れない、つまり二人が一歩も引き下がらないとどうなるかということを考えなければなりません。もしそうなると、二人の信頼関係が崩れ、職場も全体的に正常に機能しなくなり、取引先との関係も悪化することになるかもしれません。そうなれば会社の存続にも影響が出てしまいます。

アンガーマネジメント静岡教室のアンガーマネジメントステップアップ講座「思考編」では、A思考/B思考という「思考タイプの識別」を学びますが、斉藤さんと山田さんのようなケースでも、このA思考/B思考で改善点を修正することが可能です。

まずここに、「二人が一歩も引き下がらない会社にとっての危機的状況」があります。

その「危機的状況」の原因を「A思考/B思考」で特定します。

斉藤さんと山田さんの二人が、もし二人とも「A思考」であれば、このようなことにはなりません。

会社が「危機的状況」になる原因は、二人が二人とも、多少なりとも「B思考」だからです。

「B思考」の中でも特に、「自分は悪くない、相手が間違っている」という思考「怒り思考」が問題です。

「怒り思考」では、自分が正しい理由をいくらでも述べることができ、同時に相手が間違っている理由もいくらでも語ることができます。だから譲ることの必要性を感じることができなくなり、対立したら対立したままという膠着状態になってしまいます。

この膠着状態を打開するには、怒り思考におちいっていた当事者がそれに気づき、A思考に切り替えるということです。

それができれば、氷が溶けて春になるように、事態は劇的に改善します。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)

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