脳がいかにすごいかという話

私たち人間が持たされている脳は、生物個体としての私たちを存続させるために機能しています。

人間の場合は血液の20パーセントを脳が使い、他のあらゆる動物と比較しても体重に対して最大の脳を持たされています。

人間の脳がいかにすごいかというのは、ただ単に身体を保つというだけではなくて、複雑な思考を行ない、思考を性格に伝達するための言葉を操ることにありますが、実は、さらにすごい機能もあります。

その代表的なものが「見えないはずのものが見えてしまう」というものかもしれません。

NHKのドキュメンタリー番組でも紹介されていた実験ですが、数人の被験者が並んで座っていて、その人たちにある種の電磁波を当てると、その部屋に大きなオレンジ色の光が見え、さらにその光が動くように見えるんだそうです。

そもそも「見える」という機能は、目だけで行なっているものではありません。目から入った光を脳が解釈して「見える」になるわけです。

ですからこの実験では、目からは入っていない光を、脳が直接「光った、光が動いた」と解釈させたということになります。

多くの人が経験している「虫の知らせ」というものもあります。

2001年10月の深夜、ここ静岡市から直線距離にして130キロメートルも離れた埼玉県所沢市で弟が事故に遭いました。すでに私は就寝していましたが、ちょうどその時間に目が覚め、ある種の興奮状態になって起きていたところ、電話が鳴って事故を知らされました。これが虫の知らせです。

絶対に知りようのないことなのに、どうしてそのようなことが起きるのかといえば、それは、脳が何らかの電磁波を受信しているからだと説明することができそうです。

透視能力などのいわゆる超能力も、この「電磁波の受信」という仮説で説明できそうです。(ですから、霊だとかいったオカルト的な話はまったく必要ないはずです。)

精神的に極めて不安定な状態が続いているときなど、脳は無意識のうちに必死になって「出口」を探します。そうして見つける「出口」のひとつとして、見えないはずのものを透視するという行為だと考えられます。

筆者も二十代の不安定な時期に、トランプのカードを「ハート、ダイヤ、クラブ、スペード、スペード、クラブ・・・」と、連続して16枚も当てたことがあります。当たった数が16枚になったのはそこまで来て怖くなってやめたためですから、怖くならなければもっと当たったかもしれません。

このようないわゆる「超能力」を、人間が持つべき優れた能力だとは考えたくありません。私たちはそんな能力を必要とせず、他にいくらでも優れた能力があるからです。

そうはいっても、脳にそのような機能があるのは確かです。もしかすると太古の昔の人類の先祖たちは、このような能力を使って暮らしていたのかもしれませんね。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)

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