煽り運転が問題視されるようになってきています。大事故が起きて犠牲者が出たからであり、裁判での罪状にも世間の感心が高まっていますが、どうして人はそこまでバカなことをするのか、心理学的な観点からもいろいろと考えられます。
ひとつは「領域意識」と言うべきもので、車を運転していると、車内の運転席という、すべてが自分の意のままになる空間にいながら移動をしているために、「前方の車が自分の領域を侵している」と感じられるためではないかということです。
しかしそれだけでは説明が十分とはいえないかもしれません。
というのは、同じように頭に来てしまうことは、車のドライバーに限ったことではなくて、バイクや自転車の人もそうですし、歩行者や車椅子の人にもあることだからです。
本当の問題は「領域」ではなくて、「理想」ではないかと私は考えています。
当教室の講座でも講師からお話していることですが、私たちは誰でも同じように「気分」をもって生きています。そして「気分」には、「良い気分」と「イヤな気分」があります。
「普通の気分」というのは、その「良い気分」と「イヤな気分」の両方があるもので、気分が良くなったり悪くなったりするものです。それでこそ「普通」なんです。
にもかかわらず、私たちは「常にいい気分でいたい」と考えます。その「常にいい気分」というのが「理想の気分」なんですが、現実にはそんなものは存在しません。気分は良くなったり悪くなったりしてこそ「普通」なのであって、常に良い気分など現実にはあり得ないんです。
現実にはあり得ない「理想の気分」ですが、「イヤな気分になることがあってもそれも普通で仕方ないことだ」と思うことができる人(A思考の人)がいる一方で、「常に良い気分であるべきだからイヤな気分は絶対にお断りだ」と思いたがる人(B思考の人)もいます。
A思考の人
「イヤな気分になることがあってもそれも普通で仕方ないことだ」
B思考の人
「常に良い気分であるべきだからイヤな気分は絶対にお断りだ」
A思考が強い人ほど、イライラが少なくて楽な生活をしています。
B思考が強い人ほど、イライラが多くて苦しい生活をしています。
前方に邪魔な人がいたり、邪魔な車がいたりすることで頻繁に頭に来てしまう人というのは、B思考の人です。それで煽り運転までしてしまうということは、B思考が強すぎるということになります。
「A」とは「Affirmation」、相手の存在を肯定することです。
「B」とは「Bondage」、気分などの奴隷の状態のことです。
「気分というのは、良いときもあり、悪いときもある。それでこそ普通の気分なんだ」
是非そのように、自分の気分の変化を受け止められるようになりたいものです。
初めまして.最近,他人の心や考え方,生き方に興味を持ち始めたものです.
大体の記事を読ませてもらい,それらに関することも自分が見た中で最新のこの記事にコメントさせていただきます.
今まで自分はこのブログに書かれている前頭前野の弱いタイプの人間であり,論理的な思考で他人を追い詰めるタイプであったと思います.
しかし,ふとしたタイミングでそれの誤りに気付き考えを直し始めているタイミングでこの記事に出会い,背中を押されたように思えました.
これからも興味深い話を聞けたらと思いコメントさせていただきました.
今後とも更新よろしくお願いいたします.
quriさま
コメントをありがとうございます。
「論理的な思考で他人を追い詰めるタイプ」私もまさに自分がそのタイプであるところからアンガーマネジメントの研究を始めるようになりました。(当初は「アンガーマネジメント」という言葉・ジャンルではないところからのスタートでしたが)
投稿の頻度が少なくて申し訳ないのですが、今後ともよろしくお願いいたします。