社会性と報酬系のこと

報酬系というのは、脳内のシステムのひとつで、 “喜び” とか “満足感” と呼ばれるような快さを感じる仕組みのことですが、私たちの誰もが共通して感じる喜びばかりではなく、人ぞれぞれに異なる満足を求めているということもあります。

最近の脳科学の話題でよく出てくることの中に、「優しくされるよりも優しくしてあげることの方が報酬系は活性化する」というものがあります。

10ドルもらう喜びよりも10ドル寄付してあげることによる喜びの方が大きいとか、ちょっとそこにある物を取ってもらうよりも取ってあげる人の方が喜びを感じることが多いといったことです。

たとえば食べ物が一人分しかないというような時、自分が食べるよりも食べたがっている家族にあげることの方が “満たされ感” が強いのではないでしょうか。

そのような利他的な行為は、自分の空腹を満たすことにはなりません。自分が食べて満たされる満足(満足①)は、自分は食べずに人に与える満足(満足②)より大きくても良さそうなのに、(もちろん与える相手にもよるわけですが)「満足②」の方が強いということも案外多いわけです。

どのような行為が自分を満足させるかというのは、遺伝的な要素もあれば、経験によって身についた要素もあるでしょう。

とても賢いことを隠してバカなふりをし、人に優越感を与えるのが好きな人がいます。(Aタイプ)
その一方で、大して賢くないのに賢いふりをしたがる人もいます。(Bタイプ)

頼まれていないことでもしゃしゃり出て、どんな仕事でも人一倍働きたがる人がいます。(Aタイプ)
その一方で、働いているふりはしても実は楽ばかりしているという人もいます。(Bタイプ)

Aタイプの人というのは、人のためになることによって得られる満足をたくさん経験してきていたりするんでしょうけれども、Bタイプの人というのは、人のためになることによって得られる満足というものをあまり経験したことがなかったりするのかもしれません。

私たち人類は、社会性を保つことによって正常な精神生活ができるようにできていますから、Aタイプであることの方が人生は充実し、幸せになりやすいということがいえると思います。

Bタイプのままでいる人というのはその反対で、人生に充実感が得られにくく、幸せにもなりにくいということでしょう。

BタイプをAタイプに変えることができれば、より多くの人がより良い人生を生きられるようになりそうですが、そのためには、利他的な行為による満足感というものをコツコツと経験して積み重ねていくということになるんじゃないでしょうか。

Akira Okitsu
1960年6月静岡市生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。語学教育と教員指導の経験から、脳科学・心理学・言語学からなる認知科学の研究を始め、1994年言語学専門誌『言語』(大修館書店)にて、無意識下で「(見え)る/(見え)た」などの語形を決定する認識の根本原理の存在を言語学史上初めて指摘する。認知科学の知見を実用化して、アンガーマネジメント・メンタルトレーニングプログラムの開発、観光振興関連コンテンツの開発を行っている。アドマック株式会社代表。日本認知科学会会員。 【著書・著作】 ■『日本語入門 The Primer of Japanese』(1993年富士国際日本語学院・日本語ブックセンター創学社) ■『新しい日本語文法』(大修館書店『言語』1994年12月号) ■『夢色葉歌 ─ みんなが知りたかったパングラムの全て』(1998年新風舎出版賞受賞) ■『興津諦のワンポイントチャイニーズ』(2011年〜2012年SBS静岡放送ラジオ) ■『パーミストリー ─ 人を生かす意志の話』(2013年アドマック出版) ■『日本語の迷信、日本語の真実 ─ 本当の意味は主観にあった』(2013年アドマック出版) ■『余ハ此處ニ居ル ─ 家康公は久能にあり』(2019年静岡新聞社)

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